▼ ニュースのポイント
①Exoが小型超音波診断デバイスと専用プラットフォームを組み合わせた「Exo Works」の商品化を目指す資金調達に成功した。
②AIと医療用画像技術、半導体技術による新時代の医療実現を目指している。
③低コスト化も進んでおり新市場開拓の雄として期待。
Exoが2億2,000万ドルの資金調達に成功
ヘルステック企業のパイオニアであるExoは現地時間の7月29日、RA Capital Managementが主導する2億2,000万ドルのシリーズC投資ラウンドを終了し、資金調達に成功したことを発表した。
BlackRockやSands Capital、Avidity Partner、Pura Vida Investments、さらにこれまでの先行投資家らも参加したもので、Exoはこの資金から、コンパクトでリーズナブルな携帯型超音波診断装置と、ポイント・オブ・ケアの直感的に使えるワークフロープラットフォームからなる新ソリューション「Exo Works」の商用化を目指す。
Exoの携帯型超音波診断装置は、ナノテクノロジストやチップデザイナー、家電・医療機器の専門家などからなる開発チームによって生み出されたもので、革新的な新素材とプロセスを採用、最先端のAIを搭載しており、小型で使いやすいデバイスながら、優れた画質と精細で深部までカバーする画像情報の出力を、手頃な価格で実現できるという。
超音波機器は非放射性で有害な副作用の心配もなく、全身の診断・検査に用いることができるが、装置の大きさや費用の高額さから、限られた医療現場でしか活用できていない。
Exoでは、この課題を解消し、一刻を争う過酷な救急現場や地方の診療所、地域の小規模病院における各診療科など、あらゆるシーンで、医師が1人1台手にすることができるほどのデバイスとすることを目指している。そのため、操作面でもごくシンプルで直観的に扱えるものとなっている。
既存システムとの安全な接続も可能
さらに「Exo Works」のプラットフォームでは、検査結果を見て結果を文書化し、課金処理を行うといった一連のワークフローを同一フォーム内で実行可能となっており、わずか1分以内に処理することができるという。
このソフトは既存システムとの親和性も高く、ごく一般的な病院で採用されているEMRやPACSシステムとの安全な接続、画像処理や通信が行えることも確認されており、携帯型超音波診断装置を組み込んだ新時代の医療、これまでの仕組みとの相互運用がすぐに実現できるようにもなっている。
また、異なる医療機関に所属する医療従事者同士が画像を確認し、診断結果の相互承認を行うなど、経験豊富な医師の知見やノウハウを僻地医療の現場などにも提供できるとみられている。さらに自宅にいる術後の患者から、画像として経過情報を提供してもらったり、画像結果からより精密な検査を受けるよう案内したりといった利用方法も検討されている。
医師だけでなく、幅広い医療従事者のニーズ聞き取りも進めており、救急医療現場における外傷診断から神経ブロック処置、静脈注射のための適性静脈をピンポイントで見つける診断実施、心臓病の評価、新型コロナウイルス感染症患者の肺画像スキャンなどでの活用も見込まれている。
これまでの携帯型超音波技術では十分な画像結果が得られなかった、スキャンの難しい肥満・過体重の患者を含む、幅広い体型の患者に有効とされており、「Exo Works」ソリューション全体として、医療現場に、患者に、大きなメリットをもたらすものになることが期待される。
超音波技術を広く大衆化するビジョンはごく最近になって出てきたものだが、その可能性は非常に大きい。シリーズBに続く資金調達の成功で、Exoの調達総額は3億2,000万ドルを超えた。ハードウェアとソフトウェアの両面から商用化・実用化が加速する。
(画像はPixabayより)
Exo プレスリリース
https://www.exo.inc/news/▼ 会社概要
Exoは2015年創業の医療ヘルステック企業。ハードのデバイス開発とともに、ワークフローを改善するプラットフォームやアプリ開発も手がける。高品質な医療用画像を広く提供し、医療従事者の重要で迅速・正確な意思決定をサポート、患者予後の改善につなげることをミッションとしている。
社名:Exo Imaging, Inc
CEO:Sandeep Akkaraju
所在地:Redwood City, California, U.S.