▼ ニュースのポイント
①IBMが金融業界向けパブリッククラウドとしては世界初の「IBM Cloud for Financial Services」をリリースした。
②オープン・イノベーション向けの設計と高度なセキュリティの仕組みが特徴。
③SAPなど世界の企業がエコシステムに参加する。
「Red Hat OpenShift」にも対応する画期的プラットフォーム
IBMは米国時間の4月7日、金融業界向けのパブリッククラウドサービス「IBM Cloud for Financial Services」の一般提供を開始したと発表した。エンタープライズ向けコンテナプラットフォームとして、あらゆる環境での運用が可能な「Red Hat OpenShift」などのクラウドネイティブなサービスにも対応しており、業界のさまざまな要件に応えた画期的プラットフォームとなることが期待されている。
「IBM Cloud for Financial Services」は、IBMがBank of Americaとの協業で開発設計・構築を進めてきたプラットフォームで、すでにBank of Americaは一部の金融サービスにこれを適用している。
金融業界向けとして、イノベーションを促進しつつも、データ保護などとくに高度なコンプライアンス能力と最高レベルのセキュリティが求められることから、入念な開発と実験が重ねられ、今回の一般向け公開となった。IBM Cloud上サービスとして提供されており、同業界向けのパブリッククラウドとしては世界初の事例になる。
第4世代コンフィデンシャル・コンピューティング機能と高度暗号化機能でデータを保護
「IBM Cloud for Financial Services」は、Kubernetes環境として「Red Hat OpenShift」をサポート、またVMware、クラウドネイティブの基盤上でも稼働し、その基盤の上に「IBM Cloud Framework for Financial Services」と呼ばれるコンプライアンス管理フレームワークを置く。そしてこれに準拠するIBMの各種サービスやベンダーアプリなどによって構成されるかたちを採っている。
セキュリティやコンプライアンス制御も含まれ、このクラウドベースの暗号鍵管理システムや、ハードウェアセキュリティモジュールにより、さらにデータへのアクセスや暗号化制御が高度かつ自在に行えるようになるとされる。
用いられているのは、IBMの第4世代コンフィデンシャル・コンピューティング機能と、商用提供されているものとしては最高レベルのセキュリティ認証を搭載し、IBM Hyper Project Servicesを介して提供される高度暗号化機能の「Keep Your Own Key」だ。
IBMでは、金融業界の顧客企業が容易にクラウドを採用できるよう、この業界の厳しい規制要件や高度なセキュリティ確保に対応できる設計で開発を行ったといい、安全な運用に必要な制御の仕組みは、Bank of Americaのほか、金融業界企業の規制コンプライアンスを対象にコンサルティング事業を行うPromontoryの協力によって生み出され、今後はIBM Hybrid Cloud Platformの責任者が率いるIBMのFinancial Services Cloud Councilに継承され、維持されていくと説明している。
IBMによると、Bank of Americaのほか、SAPなど90を超える独立系のソフトウェアベンダーやSaaSプロバイダがパートナーエコシステムに加わったという。
厳しい規制の遵守と機密データの保持、高度なセキュリティが必須の金融業界において、パブリッククラウドの可能性を示すことにより、さまざまな金融サービスの構築とリリース、運用が容易に、また迅速に行えるものとなるため、オープンイノベーションが促進され、他業種参入も含めたフィンテックの加速が見込まれている。
(画像はPixabayより)
IBM プレスリリース
https://newsroom.ibm.com/▼会社概要
IBMは、正式名称をInternational Business Machines Corporationという米国のコンピュータテクノロジー企業。1911年にC-T-Rとして創立され、近年はクラウドコンピューティングとコグニティブコンピューティングの技術開発とサービス提供を進めている。その知名度は世界的に高く、ビッグブルーの愛称でも知られる。
会社名:IBM(International Business Machines Corporation)
Chairman and CEO:Arvind Krishna
本部:Armonk, New York, U.S.