▼ ニュースのポイント
①オンライン決済PF大手のStripeが暗号資産の決済サポートに再着手した。
②世界有数の取引所であるFTXと提携、詐欺リスクを低減させる。
③暗号資産投資家の本人確認自動化にも寄与し、シームレスな取引環境を整備する。
StripeとFTX、FTX USが提携を発表
オンライン上の新たな金融インフラを構築するグローバルテクノロジー企業、Stripeは米国時間の3月10日、世界有数の暗号資産取引所であるFX、またその米国規制関連会社であるFTX USと提携したことを発表した。
今回の提携を基に、FTXとFTX USは、取引所に参加する投資家ユーザーのよりシームレスな口座開設と本人確認フローの自動化システム構築、アカウント口座に資金を追加する入金時決済にStripeを採用する。
Stripeはかつて暗号資産のサポートを展開していたが、その後はプラットフォームとして距離を置き、2018年にビットコインのサポートを終了させていた。昨今の暗号資産の広がりを受け、大手FTXの支援というかたちで、実質上の市場再参入を果たしたものとみられる。
FTXは急成長中のテクノロジー企業であり、ユーザーが多様なデジタル資産を売買・取引できる取引所を運営している。2022年1月現在、ユーザーである投資家のFTXにおける取引額は、毎日平均140億ドル相当にものぼる。
FTXとしては、Stripeのサポートを得ることで、より幅広い投資家層にアプローチし、暗号資産取引市場の信頼性向上やツールの使用感改善を推進、さらに身近で着手しやすい投資とし、快適で魅力ある取引体験を提供していくことを目指す。
デビットカードやACH送金での暗号資産購入も可能に
FTXは、Stripeの採用により、デビットカードやACH(Automated Clearing House)送金で暗号資産を購入したいユーザーの希望にも応え、通常の銀行からのシームレスで直接的な入金、決済を可能とする。
この新決済システムは、Stripeの開発者向けソリューションを活かすことで、わずか数日のうちに構築できたという。
また、FTXは「Stripe Radar」を利用し、取引所における詐欺・不正リスクの低減を図るものともした。Stripeの機能群と完全に統合されている「Stripe Radar」は、機械学習モデルと、顧客ユーザーの詳細データ、請求情報、それ以外のプロパティを含むシグナルなどを用い、詐欺行為者と正規取引者を素早く的確に区別する。
この仕組みにより、FTXはより多くの正規取引をスムーズに受け入れ、収益アップにつなげられるようになる。また投資家ユーザーは安全でスムーズなオンライン取引体験というメリットを享受できる。
アナログな本人確認をリアルタイムの自動化方式へ
さらに「Stripe Identity」の活用により、新たな口座開設と本人確認に係るフローを構築、暗号資産の投資家ユーザーが間違いなく本人であることを容易に証明・確認できるようにもした。
これまでFTXの用いていた本人確認プロセスでは、しばしば手作業によるアナログな審査が必要で、最大1週間といった時間を要していた。
新たなフローでは、Stripeが世界数百万人のユーザーを認証する際に用いているのと同じ技術に基づいて構築された機械学習モデルを導入しているため、リアルタイムで手間なく本人確認が実行できるようになり、自動承認で新規投資家をスムーズに受け入れられるものとなっている。
Stripeでは、FTXのみならず多くのWeb3関連プロジェクトとの連携を進めており、暗号資産関連のサポートもさらに積極的に推進していく姿勢を示している。
(画像はプレスリリースより)
Stripe プレスリリース
https://stripe.com/newsroom/stories/ftx▼ 会社概要
Stripeはeコマースやアプリ、Webソリューションなどの提供事業者を主な顧客に、決済処理ソフトとAPI、プラットフォームを提供、オンライン金融経済インフラの構築を進めている企業。スタートアップから世界的大企業まで幅広い顧客を持ち、数百万に及ぶ導入企業のビジネス成長を支えている。
社名:Stripe, Inc.
CEO:Patrick Collison
所在地:米国・San Francisco, California/アイルランド・Dublin