▼ ニュースのポイント
①Sofar OceanがシリーズBの大型資金調達に成功した。
②IoT対応の「スポッター」ブイ分散型ネットワークにより、リアルタイムの海洋情報を世界へ提供していく。
③あらゆる危機につながる気候変動や異常気象に対し海からアプローチ、産業も支えながら今後の適応・緩和策を導く。
海洋センサーネットワークで環境問題と向き合う、産業や暮らしを未来型へ変える
海洋情報プラットフォームの開発と提供を進めるSofar Oceanは米国時間の2日、Union Square Ventures(USV)とThe Foundry Groupが主導するシリーズBの投資ラウンドにおいて、3,900万ドルの資金調達に成功したことを発表した。
Sofar Oceanでは、これを機に開発する技術プラットフォームのさらなる拡大と、世界の主要地域におけるチームの成長・拡充を図っていくとしている。海洋情報を通じた気候に関する豊富な知見を提供し、産業面の戦略的なビジネス判断に活かせるものとするほか、深刻化する異常気象の問題など、世界的な環境問題に由来する気候変動への対応、適応策と緩和策を見出していくことを目指す。
Sofar Oceanでは、すでにIoT対応のロボットブイ「スポッター」を開発し、外洋で活動させて情報を収集、分散型ネットワークによる世界初の海洋インテリジェンスプラットフォームを構築している。
世界の5つの海へ放たれた何千ものセンサーである「スポッター」は、500万時間以上の海洋観測を実施し、毎日10万以上の独自海洋センシングデータを提供するものになっているという。
こうしたSofar Oceanとは、数百人の気候・海洋科学者、10社以上の世界的海運会社、国際政府機関などが契約を交わし、そのプラットフォームを用いて、最新の気候研究や燃料効率に優れる海洋移動の工夫、海洋エネルギーのありかとリスク評価、気象モデルと予測へのデータ利用、沿岸地域のコミュニティや地域経済、その資産保護などにかかる取り組みを始めてもいる。
陸、宇宙、そして最後のフロンティアである海洋へ
Sofar Oceanでは、海洋は世界の天候を左右する気候システムの重要な構成要素であり、大規模な海洋データを技術的に処理、必要な知見を取り出して提供することは、気候に関する洞察を加速的に深められるものとなると説明する。
例えば、近年の熱帯性暴風雨や甚大な被害をもたらすハリケーンの発生・上陸などには、海洋プロセスが深く関係している。気候変動に対応し、影響の緩和を図っていくには、海洋データとさらなる見識が不可欠というわけだ。
また現在、世界の温室効果ガス排出量の3%は海運業によるものであり、Sofar Oceanの世界的海洋センサーネットワークによるインテリジェンスプラットフォームを活かした海洋産業における効率性の改善、リスク低減を推進できれば、気候変動をもたらす環境影響を小さくすることも可能になると考えられている。
ここ数十年でIoTや分散型センシングのテクノロジーが大きく進化したことにより、陸上や宇宙での大規模データ収集が可能になってきた。Sofar Oceanでは、その点、海洋こそ最後のフロンティアといえるとし、海洋インテリジェンステクノロジーを推進、天候や気候の不確実性を低減し、産業の効率的運営を支援するほか、オペレーショナルリスクの最小化、温室効果ガスなどの環境負荷削減を実現させていきたいとしている。
海面上昇や異常気象による激しい暴風雨など、沿岸地域の安全を確保し、インフラや産業を守るためにも、正確で豊富なリアルタイムの海洋データは重要なものとなる。
産業を、暮らしを支え、環境問題を改善しながら、より持続可能な未来を築くことこそミッションとするSofar Oceanの海洋からのアプローチに高い関心が集まっている。
(画像はプレスリリースより)
Sofar Oceanによるプレスリリース(PR Newswire)
https://www.prnewswire.com/news-releases/▼ 会社概要
Sofar Oceanは、海洋センシングデバイスの開発と、それらが収集する海洋情報プラットフォームの構築、提供を進める企業。海流、水温、天候。海洋生態系データなどさまざまな海洋指標のリアルタイムな情報提供を行っている。DARPAなどとの取り組みも進行中で、環境保護・気候変動への関心が高まり、海運・物流問題もクローズアップされる今日、その事業内容には世界の注目が集まっている。
社名:Sofar Ocean Technologies
CEO:Tim Janssen
所在地:米国カリフォルニア州サンフランシスコ