▼ ニュースのポイント
①自然言語によるAIコーダーの「Codex」がプライベートベータ版公開となった。
②Pythonなど10以上のプログラミング言語に対応する。
③「GPT-3」をエンジンに進化、GitHubの公開コードを学習して自然言語の命令から優れたコーディング作成を実現。
自然言語でやりたいことを指示するだけ!夢のソースコード自動生成へ
OpenAIは米国時間の8月10日、人々が通常話す自然言語を、直接ソースコードへと変換し、自動生成するAIシステムの「OpenAI Codex」について、必要な改良を加えた最新版を、プライベートベータ版としてAPIを通じ、公開する取り組みを開始した。
OpenAIが約1カ月前にGitHubと提携して構築提供を開始した、コードを自動補完する「GitHub Copilot」を支えるモデルエンジンで、Pythonをはじめとする10以上のプログラミング言語に対応している。
ユーザーは、実行したいことを自然言語(英語)で入力しさえすればよく、「OpenAI Codex」は提示されたその要求を自ら理解・解釈して、ユーザーに代わり適切なコーディングを行う。
現在、専用ページを設けて試用参加者を募っており、簡単な登録を行うと、APIにアクセスするための招待を受けることができる。将来的には有償サービスとなる見通しだが、ベータ版については当面無料で利用できるとされている。
プログラマーの負担軽減!コンピュータを使ってできることをより多く、より身近に
「OpenAI Codex」は、OpenAIの開発した多用途で使える自然言語処理エンジン「GPT-3」をベースに構築されており、指示を出す人間の意図を文脈から理解しながら、処理することができる。
また、ソースコード生成のため、GitHubの公開レポジトリにある全コードを含んだ一般公開されているソースコードの数十億行が学習データとして用いられており、実用的なコードが賭けるよう訓練されている。
「OpenAI Codex」が最も得意とするのはPythonだが、JavaScriptやGo言語、Perl、PHP、Ruby、Swift、TypeScript、Shellなどにも精通しており、幅広い用途で活用できると期待される。
さらにPythonのコード用メモリは、「GPT-3」が4KBであるのに対して、14KBも確保されており、3倍以上の文脈情報を考慮してタスクを実行できるようにもなっているという。
公開されたデモ動画では、宇宙を舞台とするシンプルなスペースゲームの作成画面で、小惑星の速度を宇宙船の1.1倍に設定する処理が、自然言語での命令によって自動でコーディングされ、出力画面で動くアイコンに反映されていく様子を見ることができる。
このほか、データサイエンスの分析プログラムに適用している例や、PythonからRubyへの書き換えを実行する例、簡単な算数の問題を解かせてみた例などの動画も公開された。
一般に、プログラマーがコードを書くという作業は、まず問題をより単純な問題へと分解すること、そしてその単純な問題をすでに存在するライブラリやAPI、関数など既存のコードにマッピングすることから成ると考えられる。
OpenAIでは、開発作業をこの2段階で捉えた場合、後者の作業こそプログラミングの中でも最も楽しみがなく、加えてこれからプログラミング技術を身につけたいと考える人にとっては最もハードルの高い部分だと分析、この作業こそ「OpenAI Codex」が最も得意とするものだとも説明している。
多彩なデモ動画で示したように、「OpenAI Codex」は汎用的プログラミングモデルとして設計されており、基本的にはどのようなタスクにも適用させることができる。これは、誰もがコンピュータをより自在に使いこなし、多くのことが自然にできる世の中へ近づく技術と考えられるだろう。
OpenAIでは、この「OpenAI Codex」を安全に、できるだけ早くスケールアップさせることを目指しているといい、今後も開発者らと協力しながら進化させていくとしている。
(画像はプレスリリースより)
OpenAI 公式ブログ発表記事(プレスリリース)
https://openai.com/blog/openai-codex/▼ 団体概要
OpenAIは2015年に設立された人工知能研究を進める非営利団体。イーロン・マスクらが参加していることでも知られる。きわめて自然で高精度な文章を生成するAI「GPT-3」や、自然言語処理と画像生成を組み合わせたAIの「DALL・E」などを発表している。
団体名:OpenAI
Chairman:Greg Brockman
所在地:San Francisco, California, U.S.