▼ニュースのポイント
①千葉大学の兪文偉教授らの研究チームは、磁気共鳴電気特性トモグラフィとAIを用いたモデルを統合することによって、人体組織の電気特性を推定するソリューションを開発した。
②この技術を応用すれば、ガン化組織と非ガン化組織の電気特性コントラストによって、医療診断ができるのではないかと大きな期待が寄せられている。
③研究成果は、今年の5月に学術誌に掲載された。
新たな医療診断確立へ期待
7月1日、千葉大学の兪文偉教授らの研究チームは、磁気共鳴電気特性トモグラフィとAIを用いたモデルを統合することによって、人体組織の電気特性を推定するソリューションを開発したことを発表した。
この技術を応用すれば、ガン化組織と非ガン化組織の電気特性コントラストによって、医療診断ができるのではないかと大きな期待が寄せられている。
この研究成果は、今年の5月に学術誌である「IEEE Transactions on Image Processing, Vol.31」に掲載された。
係数マップをニューラルネットワークによって更新
ヒトの組織や細胞には電気特性が存在。
そして、組織や細胞がガン化すると、初期段階でも電気特性が変化することが知られている。
そのため、体内生体組織における電気特性の検査は、ガンの早期診断に役立つのではないかとして注目を集めている。
磁気共鳴電気特性トモグラフィは電気特性を推定する方法のひとつであり、非常に小さな特徴まで認識できるという特長があるが、物理解析モデルでの仮説の不十分さや、推定結果の歪みの克服が課題となっていた。
同研究では、このような課題をクリアすべく、係数マップをニューラルネットワークによって更新。
更新した係数マップを活用した物理解析モデルで組織や細胞の電気特性を推定し、サンプルデータとの誤差を利用することでニューラルネットワークをさらに更新していく、物理結合神経回路網MREPTを提案した。
この方法でニューラルネットワークと物理解析モデルを統合することによって、サンプルデータを用いた数値実験を行うことができるようになった。
今回の研究は、ガンの早期診断への大きな一歩となったと考えられている。
(画像はプレスリリースより)
千葉大学 プレスリリース
https://www.chiba-u.ac.jp/▼学校概要
10学部、17大学院を有する国立大学。
学術研究・イノベーション推進機構を新設し、産官学連携で国内だけでなく国外の研究機関とも共同研究支援基盤を強化している。
学校名:国立大学法人千葉大学
学長:中山 俊憲
本部所在地:千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33