▼ ニュースのポイント
①AMDが投資家向けイベントで最新CPUやGPUのロードマップについて発表した。
②「Zen 4」はAVX-512対応で総合性能は35%以上の向上となる。
③「RDNA 3」では採用GPUでワットパフォーマンス50%の向上と発表。
AMDの今後が期待されるロードマップ発表に
米AMDは現地時間の6月9日、投資家向けイベント「Financial Analyst Day」を開催し、間もなくリリースする最新のCPUやGPUに関する追加情報を明らかにしたほか、今後の開発ロードマップについて発表を行った。
自社の高性能かつ適応性の高いコンピューティング・ソリューションは、さまざまな主要サービス・製品の機能を形成する上で今後もさらに大きな役割を果たしていくものとなるほか、広範なAIのリーダーシップを担うものになるだろうとしている。
まず、今年後半にも世界初の高性能5nm x86 CPUを搭載し、リリースする予定の「Zen 4」CPUコアについては、IPC(クロック当たりの命令実行数)が前世代となる「Zen 3」採用のCPUに比べ、8~10%向上、ワット当たりのパフォーマンスでは25%以上の向上がみられ、総合性能では35%の向上になるとされた。
また、DDR5メモリの採用により、コア当たりのメモリバンド幅が最大125%向上、AI向けの命令拡張がなされ、AVX-512命令をサポートするものになっている。
さらに2024年にリリース予定の次世代「Zen 5」CPUコアは、より幅広いワークロードと機能にわたり、パフォーマンスや効率性でトップを走るものとなるよう、ゼロから構築を図っており、AIや機械学習向けの最適化を含んだものになるとした。
詳細なCPUコアのロードマップとしては、2022年中に「Zen 4」、「3D V-Cache搭載のZen 4」、「Zen 4c」を投入し、2024年に「Zen 5」、「3D V-Cache搭載のZen 5」、「Zen 5c」を登場させる予定になっている。「Zen 4」シリーズは5nm・4nmで生産、「Zen 5」シリーズは4nm・3nmで生産される予定とも発表された。
「RDNA 3」は電力効率が50%以上向上
新たなGPU向けアーキテクチャ「RDNA 3」はチップレット設計、次世代AMD Infinity Cacheテクノロジー、最先端の5nm製造技術、そのほか機能強化を組み合わせて生み出されたもので、前世代の「RDNA 2」に比べ、ワット当たりパフォーマンスが50%以上の向上になるという。
GPU向けアーキテクチャのロードマップとしては、今年中に「RDNA 3」をリリース、2024年にはさらに微細化された先進プロセスを採用する「RDNA 4」を登場させる予定とした。
第4世代Infinityアーキテクチャは、モジュラーSoC設計アプローチを高速インターコネクトでさらに拡張し、AMD IPとサードパーティ製チップレットの両方をシームレスに統合、これまでとは別次元の高性能かつ適応性の高いプロセッサを実現する。カスタム対応の異種混在コンピューティングプラットフォームを提供することも可能になる。
「AMD CDNA 3」アーキテクチャは、5nmチップレット、3Dダイ・スタッキング、第4世代Infinityアーキテクチャ、次世代AMD Infinity Cacheテクノロジー、HBMメモリを単一パッケージにまとめたもので、最初の「AMD CDNA 3」アーキテクチャベースとなる製品は2023年に登場予定とされた。
AIトレーニングのワークロードでは、「AMD CDNA 2」アーキテクチャに比較し、5倍以上のワット当たりパフォーマンスを実現することが期待されている。
FPGAファブリックやAIエンジンなどの主要技術で構成されるザイリンクス基盤アーキテクチャIP「AMD XDNA」についても言及があった。FPGAファブリックはアダプティブ・インターコネクトとFPGAロジック、ローカルメモリを組み合わせ、AIエンジンは高性能でエネルギー効率の高いAI、信号処理アプリケーションに最適化されたデータフローアーキテクチャを提供するものになるという。
AMDでは2023年に予定するAMD Ryzenプロセッサーを皮切りに、将来的には複数の製品にAMD XDNA IPを統合予定とした。
なお、AIプログラミング・ツールの統一のため、複数世代の統合AIソフトウェアロードマップについても発表、AI開発者らが同じツールセットと最適化済みのモデルで機械学習フレームワークからCPU、GPU、アダプティブSoC製品ポートフォリオにわたり、プログラミングできるようにしていく方針ともした。
(画像はPixabayより)
AMD プレスリリース
https://ir.amd.com/news-events/press-releases/▼ 会社概要
AMDは米国の半導体企業。CPUのほかグラフィック処理を行うGPU、CPUとGPUを統合したAPUの製造などを行っている。世界中のコンピュータ製品、通信機器メーカーに半導体製品を提供してきた。直近ではFPGA大手のザイリンクス(Xilinx)を買収したことで注目を集めた。
社名:Advanced Micro Devices, Inc.
CEO:Lisa Su
所在地:米国・Santa Clara, California