▼ ニュースのポイント
①SpotifyがAIによりユーザーの好みに応じた楽曲リストを自動生成、提案する新機能「DJ」ベータ版の提供開始を発表した。
②モバイル版が対象で、まずは米国とカナダのPremiumユーザーへの限定提供となる。
③AIによるDJ音声での解説などもあり、既存のパーソナライゼーションの仕組みを次世代レベルに引き上げるとする。
自身の好みを熟知した私だけの「DJ」に
Spotifyは現地時間の2月22日、AI技術を活用した「DJ」機能について発表した。同日より、限定的にベータ版の提供が開始されている。
Spotifyは、好みの音楽やポッドキャストを自由に楽しむことができるデジタル音楽配信サービスとして広く浸透しており、ユーザーとアーティストの新たな出会いを生み出すパーソナライゼーションの仕組み開発にも力を入れている。
新たに発表された「DJ」機能は、ユーザー個々に最適化されたAIガイドで、使うほどユーザーの好みを熟知し、ユーザー自身に代わって膨大な楽曲の中からおすすめをキュレーション、その人だけのための選曲ストリームで提供していくというもの。
最新の楽曲はもちろん、昔好きだった曲や、長く聴いていなかった曲、あらためて聴くと良いなと思える曲など、幅広い出会いが創出されるという。実際に好みかどうか、ユーザーがフィードバックすることで常にラインアップは更新され、より的確に好みを反映させたものとなっていく。
雰囲気が合わない、今聴きたい感じの楽曲でないと感じたら、ユーザーはDJボタンをタップする。するとすぐに切り替えが行われ、今後の精度を向上させるユーザー情報としても蓄積される。
AIによるDJの音声の生成と再生にかかる機能も搭載しており、キュレーションされた音楽ラインアップと、ユーザーが気に入ると推測される楽曲やアーティストに関する解説情報を、驚くほどリアルな音声で届けるともされる。
よりパーソナルな音楽体験へ
「DJ」機能は、ユーザーの好みを熟知し、好きになりそうな最新リリースをスキャンしたり、かつてリピートしていた古いプレイリストに戻ったりして、よりパーソナルな音楽体験を身近に叶えるサポート役を果たす。
技術面ではOpenAIのものが採用されており、この生成型AIと音楽エディターの専門知識を活かすことで、既存の水準を超えたパーソナライゼーション、特別なキュレーションでの楽曲リスト生成が可能になったという。
DJ音声については、Sonanticの買収によってダイナミックなAIボイスプラットフォームを得たことが大きく、これによりテキストからリアルな声への変換が実現した。
音声モデル作成のため、Xavier "X" Jerniganとパートナーシップを結んだことも明らかにされ、彼の声が「DJ」の最初のモデルになっている。
「DJ」機能は、まず米国とカナダの「Spotify Premium」ユーザーを対象に、モバイル版で提供され、22日から英語での配信が開始された。
ユーザーは、iOSまたはAndroidの「Spotify」モバイル版アプリでホームのミュージックフィードを表示し、DJカードで「再生」をタップしさえすれば良い。気に入らないと判断したら、画面右下の「DJ」ボタンをタップする。すると、別のジャンル、アーティスト、ムードの楽曲に切り替わる。
Spotifyでは、引き続きユーザーのニーズに合わせ、最新技術を活かしながら、リスニング体験を向上させる革新的方法の開発に努めていくとしている。
(画像はプレスリリースより)
Spotify プレスリリース
https://newsroom.spotify.com/2023-02-22/▼ 会社概要
Spotifyは、正式名をSpotify Technologyという、世界最大手のデジタル音楽配信とメディアサービスを運営する企業。2022年末で4億8900万の月間アクティブユーザー、2億500万のサブスクリプション契約ユーザーに利用されている。PC、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などに対応し、マルチデバイスで楽しめる。「Spotify」サービスの開始は2008年10月、日本では2016年9月に開始となった。
社名:Spotify Technology S.A.
CEO:Daniel Ek
所在地:スウェーデン・ストックホルム