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MITが呼吸パターンだけでパーキンソン病を診断できるAIを開発、早期診断に光

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MITが呼吸パターンだけでパーキンソン病を診断できるAIを開発、早期診断に光

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▼ ニュースのポイント
①MITが睡眠時の呼吸パターンからパーキンソン病を診断できるAIシステムの開発に成功した。
②呼吸パターンデータはWi-Fi電波の反射など非接触センサーでも取得できる。
③対象者は普段通りに眠るだけ、負担のない検査で早期診断と適切な治療へ。

診断が遅れがちだったパーキンソン病、AIで簡単検査
 MITは現地時間の8月22日、睡眠時の呼吸パターンデータをとらえ、それを基にパーキンソン病の診断を実行するAIシステムの開発に成功したと発表した。Wi-Fiルータのような外観のデバイスを用いたシステムで、完全非接触でも検査が行えるという。

パーキンソン病


 現在、パーキンソン病は主に震えやこわばり、動作の緩慢さといった運動症状の出現をもって診断しているが、これらの症状は発症から数年後に現れることが多いため、早期発見が困難となっている。

 この課題に対し、MITの電気工学コンピュータサイエンス学科(Electrical Engineering and Computer Science・EECS)の教授で、MIT Jamil Clinicの主任研究員でもあるDina Katabi氏らのチームは、人の睡眠時における呼吸パターンをチェックするだけで、パーキンソン病を患っているかどうか検出できるAIモデルを生み出した。

 その研究成果をまとめた論文は「Nature Medicine」にも掲載されている。

 パーキンソン病は中脳の黒質と呼ばれる場所に存在するドパミン神経細胞が減少していく疾患で、患者は手足の震えやジスキネジアと呼ばれる運動障害などに悩まされる。進行性の病で一度発症すると自然に治癒することはなく、高齢者に多いが若年で発症する患者もみられる。多くが原因不明で、日本でも難病に指定されている。

 運動症状の出現による診断以外では、長年にわたる研究で脳脊髄液や神経画像による検出の可能性が検討されてきているが、いずれも高侵襲性でコストも高く、専門施設でしか検査できないなど、幅広い患者の早期診断や病気の進行状態を継続的に追跡するといった目的には適っていなかった。

注目されていた呼吸との関係、非侵襲検査で未来を変える
 MITの研究チームは、開発したAIシステムが、毎晩被験者が自宅で眠っている間に、体に触れることもなく、検査を実施できることを実証した。

 家庭用Wi-Fiルータのような外観の専用デバイスを壁などに取り付けて用いる。デバイスは無線信号を発信し、周囲の環境から電波の反射状況を分析することで、被験者の睡眠時呼吸パターンを抽出するという。

 収集した呼吸データをニューラルネットワークに与えると、パーキンソン病にかかっているかどうかを判定することができる。被験者は普段通り眠るだけで良いため、本人も周囲も負担なく検査を受けられる。

 パーキンソン病と呼吸との関係は、1817年にJames Parkinson博士が行った研究でも、すでに指摘されていた。Katabi氏らは、この関係性から病気を発見できる可能性があると考え、開発、実証実験を進めてきていたという。

 パーキンソン病は世界で最も急速に増加している神経疾患でもあり、アルツハイマー病に次ぐ患者数の多い神経疾患になっている。米国だけでも100万人以上が罹患し、年間の経済的負担は519億ドルにものぼっている。

 今回研究チームが生み出したアルゴリズムは、757人のパーキンソン病患者を含む7,687人を対象に検証作業が行われた。

 Katabi氏らは、この研究がパーキンソン病の治療薬開発や臨床治療に大きく貢献するものになるとする。薬剤開発面では、この仕組みを活かすことで、被験者の数を減らしながら、期間的にも大幅に短縮した効率の良い臨床試験が可能となり、結果として新たな治療法、治療薬の開発を加速させられると見込まれる。

 臨床治療では、地方居住者や運動能力・認知機能などの面で制限があり外出が困難な人など、これまで十分な医療アクセスが確保できていなかった人を含め、早期診断はもちろん、速やかな病態評価による適切な治療の実施につなげられる可能性がある。

 なおこの研究は、ロチェスター大学、Mayo Clinic、マサチューセッツ総合病院と共同で行われ、米国国立衛生研究所がスポンサーとなり、国立科学財団、マイケル・J・フォックス財団からも一部支援がなされている。

(画像はプレスリリースより)


外部リンク

MIT プレスリリース
https://news.mit.edu/2022/

▼ 会社(団体)概要
マサチューセッツ工科大学(MIT)は、全米屈指のエリート名門校として知られる私立工科大学。1861年に設立された。ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ハーバード大学、スタンフォード大学とともに世界トップ5大学として高い知名度を誇る。シリコンバレーなどと並ぶ先端技術産業集積地、ボストンのルート128地域における中核的役割を果たす機関でもあり、数多くの研究成果・新技術を世に送り出している。

名称:Massachusetts Institute of Technology(MIT)
総長:Leo Rafael Reif
所在地:米国・Cambridge, Massachusetts

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