▼ ニュースのポイント
①MicrosoftがWindows 11向けのAndroid用Windowsサブシステムで大幅アップデートを行い、米国でその配信を開始した。
②アプリがARMコンピュータのローカルネットワークデバイスへアクセス可能になった。
③IPv6、VPN接続に対応、ネットワーク機能も高度になって進化。
WSAに複数の新機能搭載と不具合修正を実施
Microsoftは現地時間の6日、Windows 11向けの「Windows Subsystem for Android」(WSA)において、大幅アップデートを実施し、米国の全Windows Insider向けに配信を開始したことを発表した。
アップデートされた最新版は「version 2205.40000.14.0」で、複数の新機能が追加搭載されたほか、多くの確認済み不具合点について、修正が施されている。
「Windows Subsystem for Android」は、OSをWindows 11とするデバイスが「Amazon Appstore」で提供されているAndroidアプリを実行できるようにするもの。現在は米国でのみ使用可能となっているが、今年末までには日本やフランス、ドイツ、イタリア、英国といった地域もカバーされる予定だ。
仮想マシンの技術を用いており、ウィンドウや通知などの表示方式を揃え、PC向けアプリと同感覚で利用できるものとする。
Androidスマートフォン向けの各種アプリがWindows上で手軽に扱えるようになるほか、Androidアプリの開発者らにとって、実機を用意しなくとも制作アプリをPC上で検証可能になるといった利便性がある。
最新版では、アプリがARMコンピュータのローカルネットワークデバイスに直接アクセス可能となるネットワーク上の進化が見られている。またIPv6とVPN接続もサポートした。
高度なネットワーク機能により、Androidアプリと互換性のあるスマートデバイスへの接続も可能となった。アプリを通じ、IoT家電の操作・設定といった管理なども行える。
設定アプリやIPアドレスにおける変更・改善も
また「Windows Subsystem for Android」の専用設定アプリもアップデートされ、進化したネットワーク機能に対応、使い勝手も向上した。
これまでのようにサブシステムが独自のIPアドレスを持つことがなくなり、ホストマシンやホストコンピュータと同じIPアドレスを持つ仕様にも変更されている。これにより、設定アプリ内の開発者向けセクションからは、WSA仮想マシンのIPアドレスが削除された。
プライバシーアップデートの一環として、セキュア化されたウィンドウのスクリーンショット作成を実行不可にし、それを確認済みであることも発表された。Chromeのシークレットモード環境も含まれる。
さらに、アプリのちらつきやグラフィックにおける破損、ビデオ再生やネットワークにかかる問題といった不具合を修正し、仮想Wi-Fi接続のパフォーマンスと信頼性向上も図ったという。
そのほか、アプリにおけるビデオ再生関連でAV1コーデックのサポートを追加したり、画面オフを妨げる可能性のあるバグを含んだ問題の修正を行ったりしたほか、最大化やサイズ変更関連の不具合修正、マウスやトラックパッドのスクロールにおける改善、Webブラウザの起動改善、スリープとアプリスタンバイのサポートの有効化などを施したことも明らかにされた。
なお一部のVPN接続では、高度なネットワークに関する機能を有効化することで問題が発生する場合があるといい、その場合は設定アプリで高度ネットワークを無効にすれば修正できるとアナウンスされている。
(画像はPixabayより)
Microsoft Windows Insider Blog 発表記事(プレスリリース)
https://blogs.windows.com/windows-insider/▼ 会社概要
Microsoftは、ソフトウェア開発などを中心に幅広く事業を展開する多国籍情報テクノロジー企業。Windows OSの開発、オフィスソフト「Microsoft Office」シリーズ、家庭用ゲーム機「Xbox」、クラウドサービス「Azure」の提供など、業界のエポックメイキングな製品・サービスを多数生み出している。いわゆる米国のITビッグ・ファイブのひとつでもある。
社名:Microsoft Corporation
CEO:Satya Nadella
所在地:米国・Redmond, Washington